2016年12月5日月曜日

エデンへの舟から

拷問と殺戮
天災、病気への無力が蔓延る時代には
神はあちらから、やって来て下さったものだ
拷問への心配がなくなり、殺戮は半減
死は隣に在っても、愛想もよく
その身成も多少良くなっている今
生命は希釈化され
神は求めなくてはいけなくなった。

人間はやはり、エデンの園から
ずっと遠退き続けている

それとも、この不道徳の海を彷徨う私達は
やはり
ぐるりと、あちらに向かっているのか?

それは、ただひたすら
終末に近付いているということに
他ならないということなのでは、ないのか?

それならば、もう仕方ない。
諦めよう
何故なら、私と息子には
少なくとも、舟が与えられている。
あとの人々は小さな板に捕まって漂流している。
板をも失ったものは、溺れ
苦しくて水を飲んでいく
不道徳の海の水を
沈んでいくものも、絶えない
彼等は、沈んで死ぬのではない。
深海魚のごとく、悪鬼となり
醜い曲がった姿で暗い海の底に
永遠に生き続ける

今は、船酔いが酷いが、
それもしばらくしたら慣れるんだ。
そうしたら、この豪華客船で楽しく過ごせる。
息子とその子供達と、そして友達と共に
エデンを目指して
不徳も利己も継承されるが
高徳と仁愛も継承される

問題はどちらを選ぶか、だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Ryo Discovers the World 最終回 五妃街と神農街

Rei and Ryo's Taiwan review, the last chapter. 一ヶ月に渡ってお送りした、台湾シリーズの最終回です。